二人の男が言い争いしてると、テレビのサッカー中継が佳境を報じ、ケンカを中断してテレビに見入るくだりが、まさに欧州映画という感じだった。この監督の映画はこれと「オール・アバウト・マイ・マザー」しか見てないが、こっちのほうが好きだな〜。
『オール・アバウト・マイ・マザー』で大メジャー監督になったアルモドバル。しかし独特のエロスとユーモアが薄れた優等生映画『オール~』よりも、絶対こっちを推したい!下半身不随の男を交えての愛&エロスの物語。深いテーマを扱ってるのに、重苦しくない。重苦しくないのにテーマが深い。『アタメ!』でファンになったアルモドバルの、最高傑作です。
『オール・アバウト・マイ・マザー』などのペドロ・アルモドヴァル監督の1997年作品。イギリスの推理作家ルース・レンデルの『引き攣る肉』を原作にした緊張感あるプロットに、ほどよいメロドラマ風味をまぶした一作だ。 青年ビクトルは一晩を共にした女エレナに惚れ、その部屋に押しかけるが、通報を受けてやってきた刑事サンチョともみ合いになり、その相棒の刑事ダビデを拳銃で撃ってしまう。6年後、ビクトルが刑務所から出てきた頃、ダビデは車椅子バスケのスター選手に、そしてエレナはダビデの妻になっていた。ビクトル、エレナとダビデ、さらにサンチョとその妻クララまでを巻き込んで、愛と嫉妬とエロスが渦巻く悲喜劇が展開する。 肉欲の前に屈する愛、肉欲から生まれる愛。「ライブ・フレッシュ」(“生きた肉”)のタイトル通り、「肉欲」が登場人物の行動を動機づけ、人生を変えていく、その流転の面白さ。アルモドヴァル作品でおなじみのビビッドな画面作りは本作では若干おとなしめだが、代わりに「肉欲」の形をさまざまに切り取る映像が印象に残る。一番の見所は、ビクトルを演じるリベルト・ラバルの、扇情的な色気の中にイノセントさをのぞかせる存在感だろう。(安川正吾)